日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
アズキにおける品質関連形質の変異とその成因 : 第1報 北海道産にみられる粒大の変異
由田 宏一佐藤 久泰
著者情報
キーワード: アズキ, 品質, 粒大, 粒大変異
ジャーナル フリー

1990 年 59 巻 3 号 p. 450-454

詳細
抄録

アズキの品質改良に関する基礎資料を得るために, 品質関連形質の変異とその成因を解析する研究の一環として, 北海道各地の生産者から収集した材料 (品種エリモショウズ, 1987年240点および1988年203点) について, 平均粒大および粒大変異 (1点300粒におけるI粒重の平均値および変異係数) を調査し, 年次間, 地域間, 生産者間の差異を検討した。平均粒大には明瞭な地域間差異が認められ, 生殖生長期間の長い十勝 (平均64日) で最も大きく, 石狩, 空知 (同49, 45日) では十勝産の約75%にとどまった。また, 同一地域内においても生産者によっては約2倍に達する平均粒大の差異がみられた。平均粒大と窒素施肥量との間には, 弱いながら正の相関関係 (r=0.300**) が得られた。粒大変異は生産者間で14%から37%まで分布し, 20~25%を示すものが最も多く, 年次間および地域間差異は小さかった。平均粒大が小さいと粒大変異が大きくなる傾向が, 全域を通して, また地域内でもみられた。アズキの品質関連形質のひとつである粒大の変異に関する実態は, 普通畑と転換畑の違いを含め, 地域により適応した品種の導入・育或が望まれることと, 栽培技術の再点検と改善が必要なことを示している。

著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top