日本作物学会紀事
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アルファルファの生育および窒素栄養に及ぼす土壌水分環境の影響
鬼頭 誠吉田 重方
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1990 年 59 巻 3 号 p. 455-460

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抄録

深根性マメ科植物であるアルファルファの生育, 根粒着生および窒素固定能に及ぼす地下水位の影響をポット試験を用いて調査し, さらに土壌気相の酸素濃度との関係を検討した。1) 播種したアルファルファの生育は, 地上部, 地下部とも地下水位が10 cmより高い場合に抑制された。根粒着生や窒素固定能および茎葉部全窒素量は地下水位20 cmの場合でも抑制され, 地下水位の上昇が植物生育よりも窒素固定系に強く抑制的に働くことが明らかとなった。2) 再生植物体に対して地下水位の上昇 (水位10 cm) は再生途中のアルファルファの窒素固定能に顕著な影響を及ぼし, その期間が短時間 (1日) の場合には回復可能であるが, 長期間 (3~5日) の場合には回復不可能であること, および再生植物体の生育, 窒素固定が顕著に低下することを認めた。3) アルファルファの根粒着生, 窒素同定能および単位根粒重当たりの窒素固定能が溶存酸素濃度の低い条件下で顕著に低下することを水耕栽培によって認め, さらに, アルファルファの根粒着生切断根を用いた試験によって単位根粒重当たりの窒素固定能も酸素濃度の低下によって顕著に阻害されることを確かめた。

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