日本作物学会紀事
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チーゼル (Dipsacus fullonum L.) の生育特性
中條 博良羽生 幸夫
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1990 年 59 巻 3 号 p. 461-468

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抄録

チーゼルに関する基礎的知見を得る目的で, 生育特性, 特に分枝および開花の特性を現在わが国において栽培されている系統を用いて検討した。発芽最適温度は24~28℃であった。3月下旬から1か月毎に播種した場合, 3月下旬~6月下旬の播種では生育および開花に差がほとんど認められなかった。抽だい・開花率は6月下旬までの播種では100%であったが, 7月下旬および8月下旬の播種では著しく低下し, 9月下旬以後の播種では0%であった。第一次分枝は主茎の上位4~7節に対生し, 第一次分枝から第二次分枝が, さらに第三次, 第四次分枝が対生し, これらの分枝の先端にはそれぞれ1個の頭花が着生した。ただし, 第二次以上の分枝のなかには, 伸長しないもの, および伸長しても頭花が中途で発育を停止するものがあった。1個体の開花頭花数は60~100個であった。これらの頭花の開花始は, 主茎が最も早く, 着生分枝が高次になるに従って遅くなり, 主茎頭花と最も遅かった頭花との差は約40日であった。頭花の分化は, 主茎頭花では2月上旬の花芽分化に始まり, 総苞分化, 苞の分化, 伸長, 湾曲を経て6月上旬の開花に至った。第一次分枝のうちの上位第1~第4の8分枝を残して主茎および他の分枝を摘除すると, 残された分枝における開花および頭花の大きさが比較的よく揃った。

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