日本作物学会紀事
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イネの小胞子初期冷温処理による雄性不稔 : 第30報 花粉の発育時期別に冷温処理された穎花における受精率と葯当り充実花粉数との関係
佐竹 徹夫
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キーワード: イネ, 花粉, 小胞子, , 冷温, 冷害
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1991 年 60 巻 4 号 p. 523-528

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抄録
出穂前25~2日の期間に時期別に冷温処理を行い, 穎花の受精率と小胞子および花粉の発育を調べた. 受精率と充実花粉数との間に高い正の相関関係が認められたことから, 処理時期による受精率の差異は充実花粉数の差異に基づくものと考えられる. 冷温処理による充実花粉数の減少は, 葯分化期~4分子期の期間においては主として分化小胞子数の減少によるものであり, 小胞子前期~小胞子後期の期間においては主として退化小胞子数の増加によるものであった. 冷温による分化小胞子数の減少は4分子期に最も大きく, また冷温による退化小胞子数の増加は小胞子前期に最も大きかった. この結果, 冷温による充実花粉数の減少とそれに基づく受精率の低下は小胞子初期(4分子期と小胞子前期を合わせた時期)の処理において最も大きかった. 以上の結果より, これまで受精率によって評価されてきた小胞子初期の高い冷温感受性は, 小胞子の分化と発育の両方の冷温感受性がこの時期に最も高いことに起因している.
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