日本作物学会紀事
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イネの花粉と葯の発達に関する光学顕微鏡観察 : 第2報 小胞子初期から花粉成熟期まで
和田 富吉伊藤 辰也伊藤 雅章武岡 洋治
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1992 年 61 巻 1 号 p. 136-144

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抄録
イネの花粉細胞の発達とタペート細胞の推移をグリコールメタクリル樹脂準超薄切片法により観察した. 調整により変形を生じた花粉像を含む切片を除き, このアーティファクト像が生成する背景を考察した. 発達しつつある花粉細胞とタペート細胞の間に密接な位置的関係があり, この関係が成熟花粉に至るまで維持されることを認めた. 発芽孔はタぺート組織に常に押し付けられているのではなく, その多くが, この組織の方向を向いているように観察された. タペート組織の退化には小胞子の発達が関係していると考えた. 成熟花粉内への物質の蓄積ならびに花粉が最終的にタペート組織の内壁から離れやすくなることは, 葯内の水分の減少に伴って生ずるものと推察した.
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