抄録
昼間における大気の相対湿度60%区(低湿区)と90%区(高湿区)の2区を気温22/18℃(昼温/夜温)(低温) , 28/24℃(適温), 34/30℃(高温)のそれぞれの温度条件について設け, これらの条件で3葉期の水稲を10日間水耕栽培し, 種々の気温で乾物生産に及ぼす大気湿度の影響を検討した. 乾物重増加量は, 低温および適温では高湿区の方が, 高温では低湿区の方がそれぞれ大きかった. また, このような湿度の影響は, 低温および高温では地上部よりも根部において大きかった. その結果, T-R率は低温では低湿区が, 高温では高湿区が大きく, 適温では両区間の差は小さかった. RGRおよびNARは低温あるいは適温では高湿区が低湿区より大きかったが, 高温では高湿区が著しく小さかった. 以上の結果から, 水稲幼植物の生長と乾物生産に及ぼす大気湿度の影響は気温によって異なることが明らかになった.