抄録
マレーシア (熱帯常緑降雨林地域) 品種のサンジャクササゲ, キュウリおよびダイコンとそれらの日本 (温帯地域) 品種との比較においてアセチルコリン (ACh) 分解酵素の活性ならびにストレス後の酵素活性の変化を検討した。ACh分解酵素の活性は, サンジャクササゲでは葉枕, キュウリでは茎と節, そしてダイコンでは葉柄と根で高かった. また, ACh分解酵素活性は, 熱ストレス後, サンジャクササゲでは第1および第2葉枕, キュウリでは茎と節そしてダイコンでは葉柄と根で増加した. とくに, マレーシア品種の活性は, 日本品種の同じ器官に比較し2倍以上高く, また, これらのマレーシア品種はストレス後ACh分解酵素が著しく変化した. さらに, これらのACh分解酵素活性は, ACh分解酵素の抑制物質であるネオスチグミンによって82-95%抑制された。以上の結果から, ACh分解酵素活性は, 明らかに熱ストレスに反応し, サンジャクササゲの葉枕, キュウリの茎と節およびダイコンの葉柄と根において熱ストレス後ACh分解酵素の活性が著しく増加した. とくに, マレーシア品種では, 熱ストレスに対する酵素活性の変化が著しいことが認められた.