日本作物学会紀事
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ダイズプロトプラストの細胞壁形成並びに細胞分裂に関する微細構造の解析
PHANSIRI Salak三宅 博前田 英三谷口 武
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1993 年 62 巻 3 号 p. 429-437

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抄録
ダイズ (Glycine max (L.) Merr.) プロトプラストを懸濁培養から分離し, 培養時の形態変化を透過型電子顕微鏡で観察した。プロトプラスト表面での細胞壁形成時は細胞質から細胞膜の外側への滑面小胞の放出が伴った. これらの小胞は細胞壁形成のために細胞質から膜物質を運ぶものと思われる. 時間の経過とともに, 膜物質は徐々に蓄積し, 培養2-3日後に複雑な形の細胞壁が形成された. セルロース・ミクロフィブリルの微細構造は多糖染色法を用いて培養約3日後に明確に観察された。細胞壁形成の間, 多数の滑面小胞が常に細胞膜と新しく合成された細胞壁との間に観察された. 核分裂そして細胞分裂が培養約1日後に観察された. 今回及び前回の研究結果から細胞壁形成は通常細胞分裂より早く起こり, 両反応は同時に進行すること, また滑面小胞が細胞壁形成に大きな役割を果していることが結論として言えよう.
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