日本作物学会紀事
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米の品質形成に関する生理・生態学的研究 : 第4報 貯蔵が米の食味に及ぼす影響
玉置 雅彦田代 亨石川 雅士江幡 守衛
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1993 年 62 巻 4 号 p. 540-546

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抄録
短期および長期貯蔵が米の食味に及ぼす影響を調べた. 米飯のテクスチャーは, 90日間高温かつ高含水率で貯蔵すると硬く粘りが乏しくなった. 過乾燥条件下で貯蔵した米のテクスチャーは貯蔵初期においてのみ劣り, 通常の水分条件下で貯蔵した米よりも貯蔵にともない優れた. 6年間貯蔵した米の食味も分析した. テクスチャーの変化の大部分は最初の1, 2年以内に起こり, その後はほとんど変化しなかった. 難溶性タンパク質およびアミロース含有率には有意な変化は無かった. しかし結合脂質含有率は増加した. この結合脂質の増加が, 貯蔵中の米飯テクスチャーの低下と関係している要因かもしれない. 白米と米飯付着のグルタミン酸の割合の減少と同様に, 白米中のグルタミン酸含量も減少した. 炊飯液中のpHも低下した. これらは米の味の低下と関係しているようであった.
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