抄録
西アフリカで収集した栽培稲O. glaberrimaとO. sativaの中から選んだ6系統ずつを供試し, 両栽培稲の生育, 収量性および水消費を比較した. O. glaberrimaは, O. sativaより有意に出穂期の葉面積が大きかった. また, O. glaberrimaの中には施肥によって栄養生長期間が顕著に延長されるいくつかの系統が認められた. 本実験に供試した系統の範囲内において, O. glaberrimaは穂数が多く, 一籾重が小さい傾向にあった. この差異は供試したO. sativa系統の中に長稈少げつの系統が多かったこと, またその全系統が大粒のジャワ型であったことに関係した結果である. 一穂籾数と登熟歩合には種間差異は認められなかった. 収量はO.sativaよりむしろO. glaberrimaで大きい傾向にあった. その一方で, O. glaberrima水利用効率が低く, より多水分消費型の種である傾向が認められた.