抄録
コーヒーの体細胞胚発生を, 光学顕微鏡と透過型電子顕微鏡を用いて研究した. 受精胚との比較も行った. 体細胞胚の基部と胚柄の細胞には, ポリフェノールを含む顆粒が多く見られた. 子葉状胚では, この顆粒は小型となった. 受精胚細胞にも, この種の顆粒が存在した. 体細胞胚と受精胚でともに, クチクラ層の不連続性が, ヨード銀染色法で認められた. ポリフェノール顆粒内にも, 微細な銀粒子の沈着が見られた. カルス表層・体細胞胚の胚柄表面・受精胚表面およびカルス細胞間と体細胞胚の胚柄細胞間に粘液質物質が認められた. 以上の結果から, 体細胞胚と受精胚との間に, 同様な微細構造の存在することが明かとなった.