抄録
秋ダイズの主茎の出葉経過における出葉転換点の有無を明らかにするため, 九州地方の主要な秋ダイズ品種であるフクユタカを中心に5品種を供試して, 1984年から1991年まで8年間にわたり, 九州大学農学部箱崎地区において, 栽培年次, 品種, 播種期および温度が主茎の出葉に及ぼす影響について実験を行い, 以下の結果を得た. 出葉経過には年次変動や品種間差異がほとんど認められず, 出芽から最頂葉の出葉まで全出葉期間を通じて出葉速度はほぼ一定であることが確認された. 播種期, 温度条件については早播(6月18日播種), 低温(20℃)条件下での出葉速度がやや小さかったが, いずれの処理区とも全出葉期間を通じて出葉速度はほぼ一定であった. 本実験に供試された秋ダイズ品種は感光性の大きい有限伸育性の品種であることから, 播種期が早いほど, あるいは生育温度が高いほど出葉数(主茎葉数)は多くなったが, 栽培年次, 品種, 播種期, 栽培温度に関わらず, 出芽から最頂葉の出葉まで出葉速度に変化はなく, 出葉転換点は認められなかった. よって, 九州地方で適期に栽培された秋ダイズの出葉速度は全出葉期間にわたりほぼ一定しており, 出葉経過を1本の直線回帰で示すことが可能であると思われる. この結果, 秋ダイズの生長における同伸性を考える場合, 生長モデルを単純化できるものと推察された.