抄録
インゲンマメの矮性種(モロッコ)と高性種(ケンタッキーワンダー)の芽生えをアセトンで抽出して得た酸性画分について, 生長抑制物質の検索を行うとともにその役割を調べた. その結果, 両品種に共通する2種類の生長抑制物質がシリカゲルカラムにより分離でき, カラムの溶出順にA-1, A-2と命名した. 赤色光照射は矮性種芽生えの下胚軸の生長を著しく抑制する. この時の生長抑制物質の下胚軸での含量変動を, 生物検定によって求めたところ, A-1とA-2の活性量は両品種間で大きな差はなく, これらの生長抑制物質の活性量の変動と芽生えの光生長抑制の度合との間には相関はなかった. これらの結果は, 酸性の生長抑制物質, A-1とA-2はインゲンマメの光生長抑制に関与していないことを示唆している.