抄録
ラッカセイ11品種を圃場条件で栽培し, その乾物生産特性について検討した. 用いた品種は, Virginiaタイプ(千葉43号, 千葉半立), Spanishタイプ(金時, 白油7-3, ), Valenciaタィプ(Valencia, 飽託中粒, Tarapoto), タイプ間交雑種(ナカテユタカ, タチマサリ, 関東56号, 334 A)である. タイプ間交雑種は莢の形成が早く, 莢乾物重割合が高かった. Valencia, 千葉43号, Tarapotoは莢の形成が遅かった. 生育初期, 個体群生長速度(CGR)は葉面積指数(LAI)と,生育後半では純同化率(NAR)と有意な正の相関を示した. NARは生育後半, 莢乾物増加速度(PGR)と高い正の相関があり, sink活性が同化能力に影響を及ぼしていた. NARとLAIの間に高い負の相関があり, 相互遮蔽によるNARの低下がうかがえた. 最適LAIは3.2から4.0であった. 単位LAI当たりの受光量はタチマサリ, 関東56号が大きく, 千葉43号で小さかった. Virginiaタイプは生育初期の葉面積展開が大きいが, 茎葉乾物重割合が大きく, Spanish, Valenciaタイプも茎葉乾物重割合が大きく乾物生産上有利ではなかったが, タイプ間交雑種は莢の形成が早いうえ莢乾物重割合も大きく, 受光効率も高く有利な特性を備えていた.