日本作物学会紀事
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植物体再分化過程のアフリカイネカルスの微細構造変化
BRISIBE Ebiamadon Andi西岡 大介三宅 博谷口 武前田 英三
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1995 年 64 巻 1 号 p. 121-130

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抄録
誘導後7日目および14日目のカルスと, 再分化培地に移植してから 3, 5, 7および10日目のカルスの組織を光学顕微鏡および電子顕微鏡で比較した. 培養初期にはいずれのカルスも, 周辺部にほぼ等直径の分裂組織細胞が観察されたが, 再分化培地のカルスでは内部に液胞化した大型の柔細胞が存在した. 分裂組織細胞には多数のオルガネラが観察されたが, 内部の柔細胞には周辺部にのみ細胞質が存在した. 培養日数が経過すると再分化過程の細胞は並層分裂を繰り返し, 放射状の細胞列からなる分裂組織を形成し, この中より茎葉が発生した. 再分化過程の分裂組織のプラスチドは一時的に多量のデンプンを蓄積した. またクリステの発達したミトコンドリアや, 液胞中での物質分解が観察された. 従って茎葉分化過程は高エネルギー要求過程と考えられ, デンプンその他の貯蔵物質の蓄積, 移動, 分解によってまかなわれると考えられた.
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