日本作物学会紀事
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クロタラリア属植物における生長と窒素吸収の種間差異
大門 弘幸高田 聡志大江 真道三本 弘乗
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1995 年 64 巻 1 号 p. 115-120

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抄録
近年我が国において, 緑肥作物としての導入が試みられているクロタラリア (Crotalaria sp.) の乾物生産ならびに窒素吸収特性について, C.juncea, C.spectabilis, C.pallida の3種を供試して, 種間差異を調査した. 圃場試験に先立ち, 発芽率を調査したところ, C.juncea と C.spectabilis は高い発芽率を示したが, C.pallida には磨傷処理が必要であった. 圃場試験において, 播種後 40, 80, 120日目には, C.juncea が他の2種に比べて高い地上部乾物重および全窒素含有量を示したが, 播種後120日目から160日目にかけて著しい落葉が生じ, 全窒素含有量の減少が認められた. 一方, pallida は, 初期生育が他の2種に比べて遅かったが, 播種後120日目から160日目にかけて新葉の抽出が多く, 乾物重および全窒素含有量の著しい増大が認められ, この時期の窒素固定量が大きいことが推察された. 緑肥の分解速度の律速要因の一つであるC-N率は, 播種後160日目には, C.juncea (33)が最も高く, ついでC.spectabilis (27), C.pallida (21)の順であった. 根箱試験において, 生育初期における C.juncea の根系発達が他の2種に比べて優り, 根粒着生も早いことが示された.
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