抄録
圃場に生育する作物の根系の発達程度を簡易に測定するために, ミニリゾトロン法にファイバースコープとカラービデオを採用し, ダイズを用いて測定精度の検討を行った. 圃場には外径60 mm, 内径54mmの透明アクリル管を30度の角度で埋設した. (1) 本装置によって管壁に現れたすべての主根, 分枝根の長さを約5%の精度で測定できた. (2) 圃場に埋設したアクリル管は根の伸長方向に著しく影響を及ぼすことはなかった. このことは, 根長は土壌が深くなるに伴ってある一定の傾向をもって変化し, 不規則に増減することがないことからも推察された. (3) 圃場に生育するダイズについて, コアサンプリング法で測定した根長密度と本装置で測定した根長を比較したところ, 両者には密接な直線関係が認められた. 両方法による測定値はほほ同じ程度に大きく変動した. このことは土壌中の根の分布がかなり不均一であることを示している. 以上の結果から, 本装置によって圃場に生育するダイズの根の生長パターンを推定することができ, さらに, コアサンプリング法と同程度に測定数を増せば, 従来の方法に比較して簡易に根系の発達程度を量的に測定することができると考えられた.