日本作物学会紀事
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根量の異なるバレイショ品種間の接木個体における根の生長に及ぼす穂木と台木の影響
岩間 和人高田 治大波 正寿中世古 公男
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1995 年 64 巻 1 号 p. 86-92

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抄録
バレイショにおける根の生長の品種間差異が, 根のみの遺伝的要因に起因するものか, また他の器官の生長に影響されて発現するものかを明らかにするため, 同一熟性で根量の異なる2品種 (コナフブキと農林1号) の地上部 (穂木) と地下部 (台木) を用いて, 萌芽後約10-15日目に4種類の接木個体 (同一品種間の接木個体と異品種間の接木個体) を作り, 接木の活着後, 根系調査用の特性ポット (直径25 cm, 深さ50cm) に移植し, 充分な灌水条件下で栽培した. 移植期, 第一花房終花期, 最終花房終花期の3時期に茎葉部 (葉, 茎およびストロン), 塊茎および根の乾物重と葉面積を測定し, 各器官の生長に及ぼす穂木と台木の影響を検討した. 実験は3年間行ない, 測定形質について年次を反復とした分散分析を行ない, 接木個体間の差異を解析した. 根重では, いずれの調査期でも接木個体間に有意な差異が認められ, 農林1号を台木とした個体はコナフブキを台木にした個体に比べ著しく大きな値を示した. 台木に比べ穂木の影響は小さかった. 塊茎重においても接木個体間に大きな差異が認められたが, 根重と塊茎重とはいずれの調査期でも負の相関関係を示した. 一方, 茎葉重と葉面積では接木個体間の差異が小さかった. 以上のことから, 供試した2品種間における根の生長の差異は, 塊茎の肥大開始直後における, 根と塊茎との間での乾物分配特性の品種間差異に主として起因するものと結論した.
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