日本作物学会紀事
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種間および種内細胞融合による大豆根粒菌の窒素固定能の増大
EISA El Gaali前田 和彦森 信寛北本 豊
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1995 年 64 巻 2 号 p. 273-280

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抄録
リゾビウム菌の細胞融合を行うため, プロトプラストの作出法と再生法を確立した. 細菌菌体を1%N-ラウリルサルコシンで予備洗浄し, Tris-HClバッファー(pH7.5)に0.6M MgSO4と5mg/mlのリゾチームを添加した反応液に加えて1時間反応させ, 溶菌を行った. 反応途中の反応液の交換によリプロトプラストが高効率で作出された. 調製したプロトブラストは 3.O×10-2~6.4×1O-3の再生率を示した. 種間および種内融合にポリエチレングリコール法を適用し, 栄養要求性マーカーを異にするリゾビウム菌株間で融合処理したプロトプラストを0.6Mマンニトールを含む軟寒天最少培地に混和すると, 10-7レベルの頻度で再生がみられた. Bradyrhizobium japonicum の種内融合株および B. japonicum と Sinorhizobium fredii間の種間融合株は, ポット栽培試験で宿主植物に対する根粒形成能力を示した. 種間融合株には供試した親株よリ1.5倍多い根粒を形成した菌株があった. 数十倍以上の継代培養を経た種内および種間融合株を調べたところ親株と比較して2倍以上高いニトロゲナーゼ活性を示す菌株があった. これらの結果から, 細胞融合法の適用による大豆根粒菌の窒素固定能の増大の可能性が示唆された.
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