日本作物学会紀事
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基肥窒素無施用の施肥体系と疎植の組合せ栽培において米糠の施用が水稲品種ひとめぼれの乾物重と葉身および茎の炭水化物代謝に及ぼす影響
平野 貢杉山 美保子畠山 陽子黒田 栄喜村田 孝雄
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1998 年 67 巻 2 号 p. 208-215

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抄録

基肥窒素無施用・8葉期以降追肥と疎植の組合せ栽培に易分解性有機物として米糠を施用し, 水稲品種ひとめぼれの乾物重と葉身および茎における炭水化物代謝に及ぼす影響について, 標準栽培の対照区と比較検討した.収量は, 基肥窒素無施用-疎植区(BNo), 米糠120gm&lt:-2&gtl:施用区(RB1)および米糠240gm&lt:-2&gtl:施用区(RB2)とも650gm&lt:-2&gtl:以上の多収で, 対照区と変わり無かった.米糠施用区では面積当たり頴花数が増加したが, 登熟歩合は低下した.RB1における乾物重変化および葉身窒素含有量はBNoと大差なく, 米糠の影響は小さかった.RB2では幼穂形成期頃から葉身重および窒素含有量が大きくなり, 登熟期には窒素含有率および含有量とも対照区を上回った.全試験区において, 第II節間以上の茎上部とそれより下の茎下部では, 登熟期における乾物重の減少が茎下部で早かった.穂ばらみ期において, 対照区以外の疎植区では葉身および茎のショ糖含有率が大きかった.登熟期には葉身及び茎のショ糖含有率は登熟の進行とともに次第に大きくなり, 登熟中期に最大となった.可溶性全糖含有率の最大期はショ糖のそれより早かった.茎上部と茎下部のショ糖含有率は, 茎上部では区間差が小さく含有率の上昇も急であったが, 茎下部では区間差が大きく, 含有率が最大となる時期が茎上部より早かった.茎のデンプンは含有率および含有量とも対照区において他の区より明らかに小さかった.非構造性炭水化物の動きはデンプンのそれと類似していた.茎下部の非構造性炭水化物含有量は茎上部のそれより大きく, また動きも早かった.

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