日本作物学会紀事
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反射光がダイズの子実収量と中・下位葉の光合成速度に及ぼす影響 : 栽植密度が異なる場合
佐川 了
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1998 年 67 巻 3 号 p. 366-372

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抄録

ダイズの子実収量と中・下位葉の光合成速度に及ぼす反射光の影響について, 異なる栽植密度で検討した.品種は「スズカリ」を用いた.栽植密度は14.3本m-2(10cm区), 9.5本m-2(15cm), 5.7本m-2(25cm)の3段階とした.反射光処理は畦間をりんごの着色管理用反射シートで覆うことによって行った.子実収量は15cm区および25cm区の反射光処理において増大した.それは下位節の莢数および粒数が反射光処理により有意に増加したことによるものであった.10cm区でも下位節は同様の傾向であったが, 明かな収量の増加は認められなかった.反射光処理による葉群中層の光環境の変化は, 各栽植密度とも株間では, 晴天日には認められなかったが, 曇天日にはわずかに反射光処理の光強度が大きかった.畦間では, 反射光処理によって晴天日, 曇天日とも光強度が増し, 栽植密度が小さいほど大きかった.反射光処理によって中・下位葉の光合成速度は老化による低下が抑制され, 栽植密度が小さいほどその効果が大きかった.反射光処理によって開花期-着莢期および着莢期-子実肥大期のCGRは大きくなる傾向が認められ, CGRの増加は主として開花期-着莢期はLAIに, 着莢期-子実肥大期はNARにそれぞれ関連していた.反射光処理による下位節の子実収量の増加は, 着莢期のLAIの確保と, その後のNARの低下を抑制したことが要因であると推察した.

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