耐雪性が品種によって異なる要因の一つとして茎葉の形態特性に着目し, 積雪下における葉の無機養分含有量の変化と茎葉の形態との関係について検討した.積雪下において葉の浸潤と壊死は増加し, 葉のK, Ca, Mg含有量は低下した.葉の壊死の増加及び無機養分の減少程度は耐雪性の強い品種ほど小さかったことから, 耐雪性の強い品種は融雪水による無機養分の溶脱が生じにくいと考えられた.そこで無機養分の溶脱に影響する要因として, 葉の濡れ易さに密接に関連する葉面ワックス量と, 溶脱を促進する葉の傷害程度を調査した.耐雪性の強い品種の葉面粗ワックス量は他の品種よりも特に多くはなかったが, 根雪前の強風を伴ったアラレによって生じる葉の傷の数が顕著に少なかった.一方, 耐雪性強品種は草丈, 節間長, 葉柄長, 個葉面積, 総葉面積および接地面積が他の品種よりも小さく, 葉組織の細胞間隙率が低い形態特性であった.これらの形態は傷の数と有意な正の相関があったことから耐雪性強品種は茎葉が矮性で葉の障害が回避されるために融雪水による無機養分の溶脱が生じにくいと考えられた.さらに傷の数, 草丈, 節間長, 葉柄長, 接地面積は雪害程度と有意な正の相関が認められ, 葉の障害程度や茎葉の形態は品種の耐雪性と関連することが示唆された.