日本作物学会紀事
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水稲における葉の形成過程を考慮した主稈葉齢予測モデル
神田 英司鳥越 洋一小林 隆
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2000 年 69 巻 4 号 p. 540-546

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抄録
水稲冷害の早期警戒システムにおいて東北全域の生育監視に適用する止葉展開期までの発育ステージを葉齢で予測するモデルを作成した.本モデルでは, 主稈葉齢が1進むのに必要な10~24℃の有効積算気温を出葉間隔とした.葉齢増加による出葉間隔の転換点を主稈葉齢9.1と11.1とし, 3時期に分割した.出葉間隔はPhase Iは一定, Phase IIでは一定の割合で拡大し, Phase IIIで再び一定とする.葉齢は出葉間隔に基づいて, 日々の葉齢進度を積算して推定する.東北の基幹12品種のうち, 1997年と1998年の7品種の盛岡における出葉経過からモデルのパラメータを決定した.本モデルによる推定葉齢と実測葉齢を1999年の盛岡について比較すると, 「おきにいり」を除いた11品種で誤差平均が0.25葉, 日数に換算すると1.7日であった.作成したモデルを宮城県松山町と山形県最上町の農家圃場で検証したところ, 予測精度は比較的高かった.ただし, 出葉間隔は分げつの影響も受けるため, 初期に分げつ形成が旺盛な生育型では予測精度が低くなった.
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