日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
土耕栽培におけるかんがい水中のフッ素とイネの生育との関係
山内 正見吉田 弘一谷山 鉄郎梅崎 輝尚長屋 祐一
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 69 巻 4 号 p. 535-539

詳細
抄録
フッ素2ppmを含む培養液を用いた水耕栽培でイネの生育は抑制され, 根から吸収されたフッ素はイネの体内に蓄積された.フッ素の土壌による吸収力は特異的に大きいことが知られている.そこで土耕栽培によるイネの生育に及ぼすかんがい水中フッ素の影響を検討した.水稲品種コシヒカリの土耕栽培ではフッ素濃度が0, 5, 10, 20, 30, 50および100ppmの7水準のかんがい水を用いた.その結果, 土耕栽培においてフッ素5~30ppmのかんがい水はイネの出葉, 草丈および分げつ数にほとんど影響を及ぼさなかったが, フッ素50および100ppmのかんがい水は分げつ数を抑制することが明らかとなった.フッ素100ppmの上位第2および3葉の光合成速度は低下したが, 葉身中のクロロフィル含量に影響はみられなかった.1株当り穂数および1株当り籾数はフッ素50ppmで低下の傾向を示し, フッ素100ppmで有意に減少した.籾および葉鞘(稈を含む)の乾物重はフッ素50および100ppmで有意に低下することがわかった.
著者関連情報
© 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top