日本作物学会紀事
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九州における普通ソバ子実のルチン,粗蛋白および粗脂肪含量の品種間差異
森下 敏和手塚 隆久
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2002 年 71 巻 2 号 p. 192-197

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抄録
九州で栽培されたソバ遺伝資源の子実の化学成分の特徴を明らかにするため,九州の在来種を含む内外の遺伝資源を2年間栽培し,ルチン,粗蛋白および粗脂肪の含量について調査した.ルチン含量の品種間の変異幅は粗蛋白および粗脂肪の含量と比較して大きかった.ルチンおよび粗脂肪の含量は品種間差異よりも年次間差異が大きかった.ネパールの品種にはルチン含量の高い品種が認められたが,ネパール以外では原産地別の品種の特徴が明らかでなかった.一方,ルチンの蓄積には環境要因として登熟期間中の温度が高いと有利であることが示唆された.子実重とルチン含量の間には両年とも有意な負の相関が,粗蛋白含量と粗脂肪含量の間には両年とも有意な正の相関が認められたが,千粒重や製粉歩留等と各成分含量との関係は明らかでなかった.
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