抄録
平らで均一な測定用試料を作ることが困難な天然由来の材料などの物体の色彩及び光沢を測定する方法を提案する(光沢測定はその2で報告).複雑形状の試料をそのまま測定するには,非接触で行う必要があるが,照明は別途用意しなければならず,一般に測定精度を担保することが難しい.この問題に対して,我々は積分球を模した内壁が白色のドーム型照明装置を作成し,常に一定の照明条件とすることで,非接触であっても再現性よく測色できることを示した(既発表).しかし,ドーム型照明では,高光沢の試料は,試料面の傾きに係わらず,測色値に照明光の正反射成分が必ず含まれる.すなわち,色彩の測定には,正反射成分を含まない測色(SCE)と含む測色(SCI)とがあるが,従来のドーム型照明では,SCI測定しかできなかった.そこで,その改良版として,ドーム内に可動式の光トラップ板を設置することで,SCEとSCIを切り替えて測定することを試みた.その結果に基づき,光トラップ付きドーム型照明装置を,SCE / SCIの同時測定が可能な非接触式測色システムとして提案する.