抄録
平らで均一な測定用試料を作ることが困難な天然由来の材料などの物体の光沢を測定する方法を提案する.その1では,ドーム型照明装置に可動式の光トラップ板を設置することで,正反射成分を含まない測色(SCE)と含む測色(SCI)が同時に行えることを報告したが,SCEとSCIの明度差は,正反射成分によって生じていることから,その差分から正反射成分が抽出できると考えられる.その2では,この考えに基づき,SCEとSCIの明度差から試料面の光沢度を算出する方法を検討した.光沢度が既知の球体試料を測定対象として,明度差から20度鏡面光沢度を予測する実験式を作成した結果,明度L*が80未満の物体について,接触式光沢計で測定した値と15以内で一致した.
本測定法の特徴として,複雑な形状の試料について,その形のままで,各部位の光沢度,つまり,光沢の二次元分布を測定できることが挙げられる.