日本色彩学会誌
Online ISSN : 2189-552X
Print ISSN : 0389-9357
ISSN-L : 0389-9357
SUPPLEMENT
座標変換による散乱異方性の計測(4); カットダイヤモンドからの散乱光の間接的強度観測からの議論
川口 昭夫二宮 洋文
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 41 巻 3+ 号 p. 7-9

詳細
抄録

ダイヤモンドに代表される宝石試料の客観的な評価法の探索,または官能評価に対応した物理的指標を探索するために,多面体形状の試料(カット研磨されたダイヤモンド)に直進光を入射させる際に生じる散乱光束群の空間分布を計測した.今回の報告は立体角Ωの度数分布以外に散乱光強度の間接的な測定・評価を試みた.1本の直進入射光は試料によって光路分割され,数千本の外部への散乱光として散乱されるため,散乱光を直接的に強度測定することは困難である.そこで試料位置と焦点とを一致させた放物面スクリーンに投影された「輝点」の観測強度から大まかな強度分布を評価した.これは試料からの散乱光が投影される「輝点」という位置において,散乱光と観測方向とが正反射関係であることを利用した近似的・統計的な強度評価法と考える.その結果,官能評価から与えられるとされている”Cut”グレードに対応する物理的パラメータとして,散乱光群の統計的な強度変化にも対応する傾向が認められた.具体的には低グレード試料には低Ω成分に比較的高強度な成分が多く,高グレード試料には「指数則」から逸脱する高Ω成分が目立つ傾向がある.

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top