日本色彩学会誌
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肌色の見えに及ぼすネイル色と刺激形状の影響
中島 由貴何 水蘭渕田 隆義
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2017 年 41 巻 3+ 号 p. 106-109

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抄録

 色再現の分野では,特に顔の肌色が重視されるが,手は他人を含め自分自身の視界にも入るため肌色の変化に気づきやすい.ネイル色は肌に隣接するため肌色の見えに影響を及ぼす可能性がある.本研究では,イラストに様々な色(ネイル色)を付加した画像を用いて,肌色の色みを評価させる実験を行った.刺激形状の違い(手・楕円)が肌色の見えに及ぼす影響も併せて検討した.被験者は,モニターに提示される参照画像(ネイル色なし)の肌色の色みと比較して,テスト画像(ネイル色あり)の肌色の色みが何色に見えるかを同じ・赤み・黄み・緑み・青みから選択した.実験の結果,刺激形状(手・楕円)の違い,および肌色の種類(黄み肌,中間肌,赤み肌)によってネイル色が肌色に与える影響は異なっていた.手の場合は,ネイル色によって肌色の見えが変わり,黄み肌や赤み肌はネイル色を付加することによって元々の肌色の色みがより強調され,同化や対比では説明できないことがわかった.楕円は,肌色の種類によらずネイル色の影響が認められなかった.刺激形状の違いによってネイル色の影響に違いが生じたのは,手を想起する形状が肌色の見えに影響することを示唆している.

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