日本色彩学会誌
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新しい残像の研究
鈴木 恒男井澤 尚子
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2017 年 41 巻 3+ 号 p. 90-91

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抄録
 縦横に3個ずつ隣接されて配列された9つの黄色の丸を観察すると従来の補色残像の知見からは九つの丸い青色の残像が知覚されることが予見されるが,その残像が知覚されないで従来は報告されたことがない残像が観察された.実験では残像を知覚するための一次刺激として印刷された直径3cmの円を縦横に3個ずつ配列した5個の有彩色のパターンを使用する.結果の整理は報告された残像の形と色で分類する.形は有彩色の丸である図の形の「丸」と,丸以外の地に相当する白の形を「星」とする.色は一次刺激と「同色」か,厳密には補色ではないが,補色に近い色なので「補色」とする.この組み合わせで,従来の知見では一次刺激の形で補色残像である「丸―補色」が予測される.他の反応では地の形で一次刺激の色を表す「星―同色」の反応がある.従来の残像の知見とは異なり,一次刺激の地に相当する部分の形が一次刺激の色で知覚される新しい残像が圧倒的多数で観察された.2色型P型とD型色覚者でも新しい残像が知覚された.
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