日本色彩学会誌
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RGBDカメラと波長可変照明を用いた3次元情報と分光情報の同時取得 -灰色を基準とした分光反射率推定-
西田 法史土居 元紀
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2017 年 41 巻 6+ 号 p. 57-58

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抄録

 デジタルアーカイブにおいて,物体の詳細な色と表面形状を計測し記録することが重要である.様々な光源下での色の見えを再現し,また,顔料などの推定を行うには色を分光情報として取得することが必要となる.本研究では,カラー画像と距離画像を同時取得できるRGBDカメラとしてMicrosoft社のKinectを用い,任意の分光分布を持つ光を照射できる波長可変照明と組み合わせて,分光情報と3次元情報の同時取得を検討する.筆者らのグループは,Kinectがホワイトバランスやコントラストを固定できないため,画像中に分光反射率が既知である基準色を写り込ませて分光撮影し,そのRGB値をもとに物体の分光反射率を推定し,同時に距離画像計測を行う方法を提案してきた.しかし,白色を基準として分光反射率を求めていたが,大きな誤差が生じる場合があった.本研究では複数の灰色を写り込ませ,分光画像上で対象と画素値の近い2色の灰色を基準として対象の分光反射率を求める方法を提案する.カラーチャートを対象とした実験の結果,白色を基準とした場合の平均誤差は0.0325,提案手法の平均誤差は0.0259となり,推定誤差が小さくなったことから,提案手法の有効性を確認できた.

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© 2017 一般社団法人 日本色彩学会
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