日本色彩学会誌
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色覚特性と白色知覚の関係 ―色弱模擬フィルタ装着時の場合―
井澤 尚子片山 一郎山内 泰樹
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2017 年 41 巻 6+ 号 p. 7-8

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抄録

本研究は,正常色覚者が色弱模擬フィルタを装着した場合の白色度評価と,色覚異常者の白色度評価結果の比較検討を目的とした.実験には白色点を標準イルミナントD65の色度に一致するように調整した液晶カラーディスプレイを用い,12種類の近似白色刺激を正常色覚女性15名に呈示した.呈示刺激は,色相がマンセル表記で10PB,3PB,5B,7BG,9G,3G,3GY,5Y,4YR,4R,7PおよびN,明度がマンセル表記で9.5,無彩色刺激Nを除いてマンセル彩度が0.25となるように,色彩輝度計を用いて調整した.刺激の視野角は約4度で,N7相当の無彩色背景上に呈示した.さらにP型,D型の色弱模擬フィルタを装着してもらい,同じ評価実験を同じ方法で行った.結果,色覚異常者,色弱模擬フィルタ装着時の正常色覚者のいずれも緑から黄緑,黄の色相の刺激に対して知覚白色度が低く評価される傾向が見られた.また,正常色覚者に比べ色覚異常者,色弱模擬フィルタ装着時の場合は,青から緑の評価が高く,黄から赤の評価が低い傾向にあった.これらのことから,光学フィルタを用いて,色覚異常者の白色度評価の傾向を再現できることが明らかとなった.

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© 2017 一般社団法人 日本色彩学会
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