2019 年 43 巻 3+ 号 p. 107-
有彩色光が色の見えに与える影響の基礎的な知見を得ることを目的とし,有彩色照明下での色票の見え方に関する試行実験を行った.被験者は20名の大学生で,6畳ほどの実験室に2人1組で入室し,空間の印象評価と2色の色票の見えに関する主観評価を行った.照明は赤,青,緑,黄,白の5色とした.
空間の印象評価では,赤色照明下で「落ち着かない」,「不快な」という回答が多く,既往研究と同様の結果を得た.頭痛や目の疲れに関する主観評価では,赤色照明に加え,青色照明も「(頭が)痛い」,「(目が)疲れている」という回答が多く,印象評価とは異なる結果を得た.色の見えに関する主観評価では,赤系統の色票を赤色照明下で見る場合,青系統の色票を青色照明下で見る場合に違いが分かりにくいという結果を得た.
これらの結果から,有彩色照明下では照明と同系色の色の見えに与える影響が大きいことが示唆される.