日本色彩学会誌
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日本色彩学会第50回全国大会[東京]ʼ19 発表論文集
肌色の違いによる顔の明るさ知覚の比較
田中 豪溝上 陽子
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2019 年 43 巻 3+ 号 p. 12-

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抄録

肌色は,健康状態や感情,人種などの情報を知る重要な手がかりとなる.Yoshikawa et al. (2012)は,平均明度が同じであっても, 赤みがかった肌は明るく,黄みがかった肌は暗く見える傾向があることを示した.ただし,実験刺激は日本人女性の平均顔と肌色であり,被験者も日本人であった.しかし,人間の肌色には多様性があり,人種などにより肌色の特性は異なる.本研究では,異なる人種の肌色に対しても,同様の明るさの知覚特性を示すかどうかを検証した.日本人女性の平均顔を用いて,コーカシアン,タイ人,アフリカンの平均的な肌色を再現した.各人種の肌色に対して色相角のみを変化させた評価刺激と明度のみを変化させたマッチング刺激を作成し,被験者は評価刺激の見えの明るさに一致するようマッチング刺激の明るさを調整した.明るさ知覚への色相や明度の影響を調べるためにタイ人,アフリカン,日本人に対しては明度を変化させた刺激も用意し,同様の実験を行った.その結果,いずれの肌色でも赤みがかった肌は明るく黄みがかった肌は暗く見える傾向となった.ただし,顔画像の明度が低くなると,この効果が小さくなることが分かった.

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© 2019 一般社団法人 日本色彩学会
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