日本色彩学会誌
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日本色彩学会第50回全国大会[東京]ʼ19 発表論文集
ゲーテの「色を帯びた影」がよく見えるチップLED 照明装置
中川 貴
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2019 年 43 巻 3+ 号 p. 28-

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抄録

およそ1W以上の電力で光らせることのできる高出力表面実装型LED (以下,高出力チップLED)は,手作り装置に広く使われる砲弾型LEDに比べてやや加工が難しいものの,放熱板に直接半田付けすることで効率的に放熱することができる.そのため,輪郭のはっきりした影を作り出す点光源に近い単色光源や白色光源を簡単に実現することができる.筆者は,白色板の上に立てた細い柱を一つの方向から高出力チップLEDの白色光で照らすとともに,反対の方向から高出力チップLEDの赤や橙,黄,緑,青などの単色光で照らし,単色光の影が明瞭な補色に見えることを確認した.これはゲーテが「色彩論」に記載した「色を帯びた影」である.この「色を帯びた影」の実験装置は既にいろいろな構造のものが報告されているが,高出力チップLEDを使えば,色フィルタを使うことなく簡便に実現することができる.この発表では,パワーチップLEDを用いた「色を帯びた影」実験装置の具体的な製作方法を紹介するとともに,実際の装置を用いて,6通り程度の単色光源と白色光源の組み合わせで「色を帯びた影」を実演する.

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© 2019 一般社団法人 日本色彩学会
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