2019 年 43 巻 3+ 号 p. 51-
これまで全国の景観計画におけるマンセル値を用いた色彩制限の研究では,景観計画内での色彩制限の分析と景観行政団体にアンケート調査を実施した.その結果, 色彩制限では文言やマンセル値を用いた計画が見られた.とりわけマンセル値を使用する計画では彩度に重視している傾向がみられ,色彩制限値を設定する際,その土地の背景となる自然環境は強く意識する必要がある,降水量・日照時間・湿度などの気候特性は,日光の注ぎ方や空気中の水分などが人間の色の知覚認識に大きな影響を与える.さらには気候がその土地の植生を決めるなど気象条件と地域の特徴は密接にかつ複雑に関連しており,気象条件から地域性との関係を明らかにするために多方面で実用化されている関口式による日本の気候区分を用いて,景観形成基準の値に差異がない計画の色彩制限値と気候特性の重回帰分析を行った.
その結果,彩度・明度と気候区分の関係を見ると,日照時間が長い地域は彩度が高くなる傾向や,明度の最低値が高くなる傾向が見られるなど,気象条件の違いにより色相の彩度設定値が変化する傾向が見られた.