日本色彩学会誌
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日本色彩学会第50回全国大会[東京]ʼ19 発表論文集
地域色を把握するための方法論に関する一考察
杉山 朗子
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2019 年 43 巻 3+ 号 p. 59-

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抄録

景観法の策定は進んだが,その中の色彩基準は歴史的な地区のないところでは地域性が感じられない傾向があると指摘されてきた.一方,色が地域性に関与しているという研究もあり,さらに地域ブランディングとういう観点で見ると,「多様な地域資源」を捉えて景観計画に反映させている自治体では,地域らしさを活かした取り組みがみられるという.そこで現地での測色による調査を改めて見直した.「多様な地域資源」という考え方は「自然環境色」「社会環境色」「文化環境色」の分類で整理できると思われる.大学で実施した,残したい色のアンケートや配色ワークでのコメントの整理からも,自然.社会.文化それぞれに関わる色が意識されていることがわかった.また,年齢も専門も異なる市民によるワークショップでも,色彩のツールを用いると,参加者がみんなで同時に見られる共通の叩き台ができるため,色についての討議や検討が容易になることがわかってきた.このような方法によって地域色を把握し,効果的に活用していきたい.景観計画の見直しや,公共施設や広告のガイドラインを策定するような機会がある際に,是非,現地の調査やワークショップに取り組むことを推奨したい.

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© 2019 一般社団法人 日本色彩学会
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