アクセシブルデザインの技術資料として,産総研では色弱者の識別しやすい色の組み合わせを提案するため,基本色領域に関するデータ収集を行ってきた.このデータベースは,アンカーとなる基本色13色のそれぞれについて,類似と判定される色の範囲をマンセル表色系上に類似度別に領域で表すものである.被験者はすべて強度の色弱者で,1型2色覚者29名,2型2色覚者30名に対して,マンセル色票の色の組み合わせ対して,類似性の判定を行い,その判定に基づいて基本色領域の一般的特性を明らかにした.測定した基本色領域は,1型および2型2色覚とも,マンセル表色系上で赤/緑方向に引き伸ばされた形となり,色弱者が赤と緑の識別が悪いことを示している.ただし,赤と緑の基本色領域は完全には一致せず,ある識別度の範囲で識別可能であることも判明した.さらに,赤・緑方向に引き伸ばされた方向は1型および2型で異なり,色度図の混同色線やパネルD15の1型2型タイプ判定基準の方法とも対応する結果となった.これらの結果から,アクセシブルデザインに有用な色の組み合わせ法を異なる3段階の識別度に応じて提案することができた.