日本色彩学会誌
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日本色彩学会第50回全国大会[東京]ʼ19 発表論文集
閉眼時の明るさ感評価:まぶたの光透過率測定
酒井 英樹
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キーワード: 明るさ感, 光環境, まぶた, 睡眠
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2019 年 43 巻 3+ 号 p. 7-

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抄録

睡眠中の光環境を記述する際,色温度や照度の値が使われるが,それらは開眼時の明所視における視覚特性に基づいたものである.睡眠中は閉眼しており,網膜に届く光は,まぶたを透過することで,その分光分布(色温度に影響する)や光束量(照度に影響する)が変化する.よって,睡眠中(閉眼時)の光環境を適切に記述するためには,まぶたの光透過率を知る必要がある.そこで,本研究では,両眼の開閉に応じて照度を増減させる照明装置を用いて,開眼時と閉眼時の明るさ感が一致する条件から,まぶたの光透過率を算出した.閉眼時の顔面照度を100 lxとして,開眼時に同じ明るさに感じるように被験者に照度を調整させた結果,被験者のべ33名の平均光透過率は,赤LED(ピーク波長630 nm)52.4%,黄LED(593 nm)26.2%,緑LED(515 nm)21.6%,青LED(460 nm)4.5%,白色LED(Tcp = 4188K, Ra 93)42.7%であった(光色名はLEDメーカーに基づく).これらの結果は,既往報告の光学機器によるまぶたの透過率測定値より大きな値であり,その要因について考察する.

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© 2019 一般社団法人 日本色彩学会
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