本研究では,「通常期間(平常時)」の衣服の色相と,一般的に緊張状態になると考えられる「テスト期間(緊張時)」の学生の通学時の衣服の色相に関して変化が起こるのではないかとの仮説を設定し,調査を行った.
具体的には,学生の平常時(580名)と緊張時(372名)の衣服の色相データを入手することを目的に,ビデオカメラによる定点撮影の通行人調査を行った.そのデータを対象に,t検定による分析を行った.
結果,色相に関して,上着衣は,テスト期間に有彩色が減る傾向にあり,緑は4%,紫みの青は3%減となった.逆に,白は増加傾向にあり,特に同じ天候で比較すると差が顕著に表れ,雨天時の上着衣の白については,23→43%と増加する傾向にあった.下着衣に関しては,テスト期間に緑が3%,白と黒も1%減った.逆に,橙は5%→7%の増加傾向にあった.
また,全ての色相に対してχ2乗検定を行ったところ,上着衣の色相について,「通常期間」と「テスト期間」の色相の変化に有意差が認められた.以上から,学生の衣服の上色相については,平常時と緊張時の期間の違いによる色相の変化に関して一定の傾向があり,特に,白に関して特徴的な傾向が確認された.