2020 年 44 巻 3+ 号 p. 172-
食べ物の味が見た目で変わるという経験も多く,それには色の影響が大きいと考えられる.本研究では,飲料を飲んだ際のリラックス効果が飲料の色で異なるのかを脳波を指標として調べた.試料には食用色素で着色した5種類(赤・青・黄・緑・透明)の微炭酸飲料を用いた.脳波測定には簡易脳波測定器のミューズブレインシステムを用いた.被験者は,暗室内に設置された照明ブース前に着座し,実験前の調査表に回答した.脳波測定器装着後,被験者はリラックス効果が出易いよう,負荷として簡単な暗算を30秒間行った後,開眼状態で飲料を飲んだ.飲み始めより15秒間の脳波が測定され,これを5種類の飲料についてランダムな順で行った.測定終了後,被験者は飲料の予想や飲み易かった色を回答した.6人の被験者について脳波を分析し,リラックス状態に出るα波の出現率と飲料の色との関係を調べた結果,α波出現率は緑の飲料で高く黄色の飲料でやや低かった.緑の飲料はほぼ全員がメロンソーダと回答したが黄色では回答が分散した.この結果,イメージし易い色は安心感がありリラックス効果が高いと推測されるが,飲料とは関係なく色自体の心理的効果の差による可能性もある.