2020 年 44 巻 3+ 号 p. 236-
現在,各自治体の景観計画における建物の色彩の規制方法は定量的規制が多く用いられているが,規制方法については,定量的規制,定性的規制のいずれが望ましいかといった議論がある.数値を用いた客観的な定量的規制と異なり,抽象的な内容の定性的規制にて良好な色彩景観形成を行うのは難しい面もあるのではないかと考える.
本研究では,あえて客観的な数値規制でない定性的規制に焦点をあて,色彩規制の妥当性を考える上での一つの視座を明示したいと考え,全国でも景観行政に早くから取り組んだ歴史をもち,定性的規制で景観形成を行っている神戸市を取り上げ,市の景観行政の構造の視点から色彩規制について検討した.
その結果, 景観計画だけでなく景観形成市民協定や街づくり協定書においての殆どが定性的規制を用いたルールである神戸市の色彩規制は, 景観や街づくりそれぞれを目的とした重層的な行政, 専門家, 市民の連携構造が存在することと直接的な関係があると断定することはできないにしても, パラレルな関係であると推測できえた. 色彩規制の妥当性について, 規制する側の立場である行政の景観に取り組む制度設計を検討することの意義を示したと考える.