2020 年 44 巻 3+ 号 p. 249-
我々は,ユーザの衣服の選択や着合わせ(ファッションコーディネーション)を支援する様な,Eコマースサイトで使用されるレコメンダーシステムの開発を目的とする.提案システムは,服装の印象におけるユーザのセルフイメージを好みの印象へ近づける様に,新しいファッションコーディネーションを提案する新しい仕組みを持つ.この仕組みは,セマンティック・ディファレンシャル法(SD法)と因子分析に基づく,コーディネーションの印象判断の意味次元を利用する.この仕組みにより,ユーザは,自分に合うと思うものだけでなく,欲しくても自分には合わないと思う様な,印象の齟齬が生じるファッションコーディネーションにも目を向けることができる.そして,ファッションコーディネーションの印象を総合的に評価し,自分に合わないと思った衣服の購買や着用を促す.本研究では,レコメンダーシステムを構築するための予備段階として,被験者が様々なコーディネーション画像を評価する心理実験を行った.また,実験結果から24項目の評価尺度を構築し,ユーザのファッションコーディネーションにおける印象をモデル化するために,SD法と因子分析を検討した.