日本でヒトから分離される大型の裂頭条虫は,欧州に分布するDiphyllobothrium latum(後にDibothriocephalus latusに学名変更)と同じであると1880年代後半頃から考えられるようになり,D. latumに広節裂頭条虫の和名が与えられた。以来,長期にわたってそのように考えられていたが,両者を比較研究したところ,それぞれは別種であることが判明し,日本に分布するものは独立種である日本海裂頭条虫(Diphyllobothrium nihonkaiense,後にDibothriocephalus nihonkaiensisに学名変更)として,1986年に報告された。現在では,広節裂頭条虫(D. latus)と日本海裂頭条虫(D. nihonkaiensis)は区別して扱われている。日本海裂頭条虫の第2中間宿主はサケ属の魚類であるが,第1中間宿主は不明である。虫体の正確な同定方法は,形態の詳細な観察から遺伝子配列の決定によるものに移行している。ヒトは終宿主であり,感染しても症状は軽微なことが多い。プラジカンテルの単回経口投与で,良好な治療結果を得ることができる。