日本交通科学学会誌
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交通事故で受傷した重症頭部外傷患者における来院時の生理学的パラメーターとその後の転帰についての検討
頭部外傷データバンク【プロジェクト2009】より
田中 俊生中村 俊介三宅 康史有賀 徹
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2015 年 14 巻 3 号 p. 26-33

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抄録

日本頭部外傷データバンク(Japan Neurotrauma Data Bank)は、我が国における重症頭部外傷例の疫学を目的として1997年に開始された。これまでにプロジェクト1998・同2004・同2009の3つの大規模調査が行われている。日本頭部外傷データバンク(プロジェクト2009)は日本脳神経外傷学会により、2009年7月1日から2011年6月30日までの2年間で全国22施設が参加した、0歳を含む全年齢の患者で来院時GCS 8以下、あるいは経過中にGCS 8まで低下した症例を対象とした、全登録患者数1091名の大規模研究である。今回我々は、日本頭部外傷データバンク(JNTDB)プロジェクト2009の大規模研究を用いて、交通事故にて受傷した重症頭部外傷例における来院時の生理学的パラメーターとその転帰にいかなる関係性があるのかを統計学的に検討した。この中で受傷機転が交通外傷のもので、以下7項目の生理学的パラメーターが追跡可能であった436名に関して、各生理学的パラメーターの有無が退院時の転帰(Glasgow Outcome Scale)に相関関係にあるかについて統計学的に分析し検討したので結果を報告する。【生理学的パラメーター:①酸素化:PaO2<60mmHg、②収縮期血圧:90mmHg以下・160mmHg以上、③換気状態PaCO2:35mmHg以下・45mmHg以上、④体温:36度以下・37度以上、⑤高血糖:200mg/dl以上、⑥多発外傷の有無、⑦頭蓋内圧(ICP)モニター挿入の有無】

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© 2015 一般社団法人 日本交通科学学会
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