2024 年 14 巻 3 号 p. 341-350
医療用医薬品の供給障害が長期化するなかで,後発医薬品の大規模な製造管理と品質問題による供給停止や販売中止は,その主要な原因となっている.本稿ではGMP違反の典型とされる承認書の記載と異なる方法による製造や,供給再開を困難とした品質課題について,その原因を2000年以降に世界規模で進んだQuality by Design(QbD)コンセプトに基づく開発と製造管理の根本的な変化との関係から解説した.後発医薬品の使用促進策のもとで製品の開発競争が激化する中で,実生産を軽視した開発手法や既承認製剤での組織的な改善対応の遅れが,拡充されたGMPに対する違反と,規定遵守だけでは供給再開が困難な品質課題を招いた.医薬品の安定供給確保のため,製品ライフサイクルを十分考慮した工程設計と,合理的な変更を可能とするシステム構築が重要となる.