抄録
救急車等緊急自動車の夜間の視認性向上を目的とした、再帰性反射材を用いたバッテンバーグマーキングやシェブロンマーキングの効果について実車を用いて検証している。プリズム型再帰性反射材をバックドアのみに帯状に貼付した車両、プリズム型再帰性反射材を車体周囲に帯状に貼付した車両、およびビーズ型再帰性反射材で車体サイドと後部ドアにバッテンバーグマーキング、およびシェブロンマーキングを施し、さらに車体周囲にプリズム型反射材を帯状に貼付した車両を用意し、およそ40m離れた地点からハイビームおよびロービームで照射して、そのときの様子をCCDカメラで撮影している。それらの画像に対して、定性的および定量的な評価を加えた。定量的な評価では、CCD画像のRGBカラーモデルをHSB色空間に変換し、反射材の白、赤と黄色それぞれを色相、彩度、明度の3要素から評価した。
定性的には、再帰性反射材を用いることによって、一般車両では認識が困難となる40m離れた位置からのロービーム照射であっても車両認識が可能で、バッテンバーグマーキングなど、ある程度の面積をもたせることはとくに有効であることを示した。また定量的には、画像をHSB色空間で表すことによって、光の当たり方などによる微妙な色の違いをグラフ上に表すことができ、マーキングの効果を検証する方法として有効であることを確かめた。