日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
原著
本学放射線・画像診断科における歯科医師臨床研修―口内法撮影技術の評価と研修に対するアンケート調査―
中山 美和高田 頌子木瀬 祥貴西山 航泉 雅浩有地 淑子内藤 宗孝荒木 章純有地 榮一郎
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2016 年 32 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

抄録 歯科放射線に関する臨床研修の目標としては, まず口内法エックス線撮影およびパノラマエックス線撮影が, 放射線の影響や防護についての患者への説明を含めて問題なく実施できることと考えられる. われわれの施設でもこれを第1の目標としているが, 本論文では, われわれの行っている臨床研修を評価するために, 口内法撮影の技能向上の詳細と臨床研修後の満足度に関するアンケート調査の結果を分析した.

 対象は平成24年度と26年度にわれわれの施設で臨床研修を行った研修歯科医とした. 口内法の撮影技能は研修初日と最終日に撮影されたエックス線写真を比較検討した. 満足度に関するアンケートは臨床研修終了時に7項目について行った.

 口内法撮影は, 全体的には初日と比較すると最終日で良好となっており, 臨床研修の効果が得られたと考えられる. しかし, 水平的角度と垂直的角度においては一般的にも難易度が高いとされる部位で, 臨床研修の効果を示す結果が得られず, さらなる臨床研修の必要性が示唆された. アンケート結果では撮影の上達を実感できたとする回答が口内法撮影, パノラマ撮影ともに高率であった. また, 大多数 (98.4%) の研修歯科医が放射線・画像診断科での臨床研修を有意義と評価していたことからも, 臨床研修の意図が十分に伝わったと考えられる.

 以上より, 臨床研修の効果は十分にあると考えられたが, 不十分な点も明らかとなり, 臨床研修プログラムの修正を検討する必要性が示唆された.

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