2016 年 32 巻 1 号 p. 11-21
抄録 日本歯科大学東京短期大学では, 歯科衛生士教育課程終了後, 1年制の専攻科を設置し, 専門性をもった歯科衛生士の育成を行っている. 本学専攻科の教育目標の一つに指導的立場の歯科衛生士の育成を挙げており, 専攻科では教育研修を実施している. 本学専攻科歯科衛生学専攻では 「歯科検査・口腔保健管理実習」 の科目において, 専攻科生が女子中学生・高校生を対象に, 感染予防に関する衛生教育を行うことを教育研修として位置づけ授業を展開した. 本研究の目的は, 専攻科生に対する教育研修の有効性を明らかにすることとした. 専攻科生に対して衛生教育を実施する前に, 教育研修の準備に関するアンケート調査を行い, 衛生教育実施後に衛生教育全体を振り返り自己評価を行った. その結果, 衛生教育実施後の自己評価では, 専攻科生全員が教育研修は有意義であったと回答した. また, 相手の反応を確認しながら授業をすることが大切という回答があったことからも, 衛生教育の経験を通して, 教育に求められるのは知識だけではなく, 技術や態度も身につける必要があるということを学ぶことができ, 有意義であることが示唆された.