日本歯科医学教育学会雑誌
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研究報告
「専門的で分かりにくい」 用語の分析―第4学年医療面接演習の逐語録ならびにシナリオ分析より―
上原 任三澤 麻衣子山﨑 晴美尾﨑 哲則中島 一郎桑田 文幸
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2017 年 33 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

抄録 患者と医療従事者との会話では 「専門的で分かりにくい用語」 の使用は好ましくないとされている. 学生同士が患者役・医療従事者役に分かれて行うロールプレイでは, これらが使用されている場面にしばしば遭遇する. さらに, 学生を指導するファシリテータの専門分野などによって, 「専門的で分かりにくい用語」 の基準が異なることも経験される. 今回, これらの実態を把握することを目的として, ロールプレイの逐語録を分析した.

 平成27年度日本大学歯学部第四学年生のカリキュラム 「医療面接」 にて行われた, 初診時医療面接を想定したロールプレイ演習時に学生が作成した逐語録を用いた. 63本の逐語録から, 「専門的で分かりにくい」 用語を非歯科医師ファシリテータ1名が24語, 歯科医師ファシリテータ2名がそれぞれ6語と7語を抽出した. 歯科医師ファシリテータ2名が抽出した語はほとんど一致しなかった. また, 逐語録と患者用シナリオを検討したところ, 医療者役学生は初診時に聴取すべき項目として学習済の用語を, 患者役学生は患者用シナリオに記載されている用語をそのまま使用する傾向がみられ, シナリオ作成の際には 「専門的で分かりにくい用語」 の取扱いに留意する必要があると考えられた.

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